エクスペリエンスアイデンティティ(XI)とは?

ブランディングにとりくみ始めようというときに、多くの専門用語に混乱をしているかたも多いのではないでしょうか。今回は、近年目にすることが多くなったエクスペリエンスアイデンティティ(XI/Experience Identity)について詳しくご紹介します。

ブランディングをはじめたいけれどエクスペリエンスアイデンティティがよくわからないという方に、その意味や効果、CIやVIなど他のブランディングに欠かせない要素のなかでの立ち位置など、実例を含めてブランディングコンサルティングを手がけるCIRCLが解説いたします。

XI(エクスペリエンスアイデンティティ)とは

はじめに、XI(エクスペリエンスアイデンティティ)とは何か、その立ち位置やなぜブランディングで必要とされているのかをご紹介します。

XIの意味・定義

ブランディングにおけるXIとは、企業が顧客に届けるすべての顧客体験に一貫性をもたせるため、企業が包括的に設計する顧客体験のことです。XI(エクスペリエンスアイデンティティ)のエクスペリエンス(Experience)は「体験」、アイデンティティは(Identity)「独自性、または同一性」を意味します。

顧客と企業の接点は、メインビジネスである商品やサービスだけではありません。購入に至るまでの広告やプロモーション、SNSや口コミサイト、購入するときの店舗空間での体験、購入後の使用感やアフターセールスサービス、購入前から購入後までのオンラインとオフラインのコミュニケーションなど顧客と企業の接点(タッチポイント)は幅広く存在します。この顧客との接点は、ブランディングやマーケティングではタッチポイントと呼ばれます。

幅広く多様に存在するタッチポイントの方向性や顧客がうける印象がバラバラにならないよう、顧客体験に一貫性と統一感をもたせるために重要なのがXIです。

XIの立ち位置

XIのほかにも、CI(コーポレートアイデンティティ/Corporate Identity)やMI(マインドアイデンティティ/Mind Identity)などアイデンティティ(identity)をつかったブランディング用語がいくつかあります。XIはどのような立ち位置にあるのでしょうか。

XIは企業が社会や市場にどのような存在であるかを定義するCIに含まれます。上の図をみていただくとわかるとおり、企業理念やビジョンを定めたMIがCIの核になります。XIはこのMIを軸として、顧客体験を設計していきます。

視覚的に企業を体現するVIは、XIの一部です。XIは視覚に訴えるVIを含め、顧客と企業のオンライン・オフラインでのコミュニケーションやデジタルでの操作性などすべての顧客体験です。

CIMIなどその他のブランディング用語についてはこちらの記事をご参照ください。

XIはなぜ必要なのか

1990年代にCI(コーポレートアイデンティティ)ブームがおこりました。この頃のCIでは、ロゴをはじめとしたVI(ビジュアルアイデンティティ)がメインとされ、会社名やロゴを見直す企業が多くありました。その後デジタル革新によって、視覚的に企業を訴求するVIだけではなく、視覚を含めた顧客の体験(ユーザーエクスペリエンス/UX)すべてを包括的に設計するXIの概念が誕生しました。

1990年に発行された本「誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論」(著:ドナルド・ノーマン氏)のなかでユーザーエクスペリエンス(UX)という言葉が登場し、2010年には国際規格(ISO)にも導入されました。

デジタル化が進んだためそれ以前とは比べものにならないほど、企業と顧客のタッチポイントは多様化しました。それまで、電話をメインとしていた問い合わせはメールやチャットに広がり、そこには専用アプリやSNSを活用する企業も増えています。

もしXIが無かったら、顧客は企業に対して毎回違う印象を受け、ファンをつくったり、信頼を築いていくことが難しくなります。ブランドとして認知されることから遠ざかってしまうのです。
顧客との幅広いタッチポイントすべてが企業へのイメージをつくりあげるため、XIはかつてないほど企業がブランドとしてマーケットで認知されるため、重要になっています。

XI(エクスペリエンスアイデンティティ)の効果

XIとは何か、ブランディングの中での立ち位置やなぜ必要であるのかをみてきました。現在のデジタル社会で企業が顧客と関係を築いていくなかで、XIはなぜ不可欠な要素とされているのでしょうか。

そこには大きく3つの理由があります。XIが企業にもたらす3つの効果を詳しくみてみましょう。

消費者が商品・サービスを購入する後押し

デジタル化が進んだ現代では、顧客体験は消費者が商品やサービス購入を決定する要因のひとつになりました。経済産業省のHPで紹介されている「第四次産業革命とデザインの役割(P7)」では、インターネットが普及する以前は機能・性能・価格が購買の決定因子でしたが、普及後にはその3つに体験が加わったことを示しています。

XIで一貫性のある顧客体験を積み重ねることによって、顧客が商品やサービスを購買する可能性を高めることができます。

顧客の満足度を向上

顧客体験には、顧客が購入するときの体験だけでなく、購入前や購入後の体験も含まれます。一貫した顧客体験を届けることで、企業に対して顧客や消費者のなかにポジティブな意識や感情が育まれます。

XIは商品やサービスを補完する企業の付加価値となり、顧客の満足感を向上させ、結果的にリピーターやファンを増やすことへとつながります。

ブランドとして認知されるための近道

ブランディングに本格的にとりかかり始めた方はお気づきと思いますが、企業や商品がブランドとして認知されるには長い時間がかかります。企業の発信する魅力を市場に浸透させていくには、数々のブランディング戦略を積み重ねるからです。

数あるブランディング戦略のなかで、XIは顧客の体験に直結するため、日々顧客に自社がどういう存在であるかを効果的に伝えることができます。一貫した顧客体験により、企業のファンを増やし、ユーザーが企業について体験するすべてのモノやコトは、SNSでの発信やCtoCの口コミへとつながります。

統一感のある質の良い顧客体験は企業のイメージへと直結し、顧客からの信頼を構築することになり、ブランドとして認知される近道になるのです。

XI(エクスペリエンスアイデンティティ)の具体例

XIが顧客体験を向上させるために重要であることを知り、XIをもつメリットをここまでで理解してきました。では、実際の企業ではどのようなXIによって消費者とのタッチポイントをつくりあげているのでしょうか。スターバックスやユニクロ、Uberの具体例を参考にみてみましょう。

事例1 スターバックス

スターバックスは積極的な広告活動を行わずに、ゆるぎないブランドを築きあげています。それはスターバックスが唯一無二のコーヒーブランドとして、店舗戦略も含めた一貫性のある顧客体験を提供しているからです。

「人々の心を豊かで活力あるものにするためにー

ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」

(参考URL:https://www.starbucks.co.jp/company/mission.html

スターバックスは上記のミッションのもと、一貫性のある顧客体験をつくりあげています。

落ち着いた快適な空間づくりとインテリアレイアウト、座り心地の良い椅子、くつろげる音楽、ロゴの入ったカップ、フレンドリーな店員の接客など、心豊かにリラックスした時を過ごせるよう、どの店舗においても一貫した顧客体験がつくられています。

また、スターバックスは人目につきやすい好立地に店舗を構えています。店舗自体が、広告塔になっているのです。店舗入り口には新商品や季節の商品のバナーがかざられ、緻密に顧客体験が設計された空間へと顧客を迎えいれるのです。

事例2 ユニクロ

世界に誇る日本のアパレルブランドであるユニクロでは、店舗にいてもいなくても、日々ユニクロに触れ、ユニクロを体験する包括的なXIがつくられています。

テレビCM、自社マガジン、SNSやLINE、デジタルサイネージ、広告など消費者との360°のコミュニケーションで、店舗にいないときにも常にユニクロを体験できる仕掛けがなされています。

顧客はこれらの施策によって、店舗へと誘導されます。

掲示されている広告ビジュアル、流れる音声のコマーシャル、レジでのLINEなどからのバーコード読み込みなど、店舗での体験と店舗外での体験がリンクします。

このようにユニクロでは、デジタル革新を活用したUX(顧客体験)の一連の流れが設計され、一貫性のある体験をつくりあげています。

事例3 Uber(ウーバー)

サンフランシスコで2009年にはじまったUberは、2013年に日本で法人化され、携帯電話のアプリを活用してタクシーを手配できるという顧客体験を追求したシステムにより、これまでのタクシー業界に革新をもたらしました。

Uberはタクシーにまつわるより良い顧客体験をめざし、顧客が携帯電話のアプリから近距離にいるドライバーとマッチさせ、目的地まで届けるサービスを行っています。

Uberが目指す顧客体験は、「顧客の誰にとってもどこにいても完璧なタクシー体験となる」ことです。そのために下記の3点を追求しています。

  • どこにいても、すべての人のために、どのようにデザインするか。
  • どのような環境に考慮すべきか。
  • 完璧なタクシーサービスとは?

Uberでは、これら3点を実現したシステムとアプリを開発し、ユーザーの満足度を高め、企業として急成長を遂げました。

まとめ

XIは今の企業にとって、ブランディングを行う上で不可欠な要素であり、企業の商品やサービスを成功へと導く大きな鍵になります。具体的にXIは次のような効果を企業にもたらすことをご紹介しました。

  • 消費者が商品・サービスを購入する後押し
  • 顧客の満足度を向上
  • ブランドとして認知されるための近道

特に効果の3つめで解説した「ブランドとして認知されるための近道」のとおり、企業ブランディングの効果をあげやすいメリットがあります。

そのためには、確固たるMIをつくり、顧客体験をサポートする社員のガイドラインとなるBI、顧客に視覚的に訴えるVIが必要です。この流れに一貫性と統一感をもたせ、XIをつくりあげます。

ブランディングの全体的な設計やXI構築にご不安のある方は、ブランディングの知識と経験を積み重ねたCIRCLに一度ご相談ください。 

CIRCLでは、オンスクリーンやビジュアルデザイン、プロダクトなどを含め、デザインにおけるあらゆる専門性を駆使して、企業様の理念を実現する顧客体験を設計・施行するサポートをいたします。

参考文献

「デジタル時代の基礎知識 ブランディング 「顧客体験」で差がつく時代の新しいルール」(著:山口 義宏 株式会社翔泳社)

https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sangi/sangyo_design/pdf/004_s01_00.pdf

https://www.webprofessional.jp/experience-design-and-how-to-penetrate-the-workplace/

https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sangi/sangyo_design/pdf/001_02_01.pdf

http://simonpan.com/work/uber/

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