ビヘイビアアイデンティティ(BI)とは?

ブランディングをはじめようとしたとき、CIやMI、VIなどアルファベットのものも含め、色々な専門用語があり混乱する方も多いのではないでしょうか。

今回ご紹介するBI(ビヘイビアアイデンティティ/Behavior Identity)もブランディングでつかわれる用語のひとつです。

BIとは何か、自社にとって必要なものなのか、ブランディングコンサルティングを手がけるCIRCLが解説します。世界企業のユニクロ、NIKE、GoogleのBI実例もあわせてご紹介します。

BI(ビヘイビアアイデンティティ)とは

まずBIを理解するため、その意味や定義、ブランディングのなかでの役割を確認してみましょう。

BIの意味と定義

BI(ビヘイビアアイデンティティ)とは、社員の行動規範(クレド/Credo)のことです。日本では社是でBIを表現する企業もあります。企業理念や企業ビジョンにともなって、社員がどのように考え、行動をすべきかが説かれたものです。

言い換えれば、その企業が理想とするビジネスパーソンがどういった人であるかわかりやすい言葉で完結に表現したものです。これには企業人としてはもちろん、社会人として、一個人として、どのような行動がふさわしいのかを記した企業も多くあります。

BIの構成要素

BIの軸はMI(マインドアイデンティティ)です。MIは企業理念やビジョンを簡潔な言葉で表現したもので、MIを社員が行動(=企業活動)にうつせるよう、BIは具体的・実践的な基準をあらわします。

BIはMIを個人(社員)の行動へと具体的にわかりやすく言語化したものです。

MIVIなど他のアイデンティティを確認したい時は、こちらの記事をご覧ください。

BI(ビヘイビアアイデンティティ)の効果

BIの重要性を理解するため、BIが企業やブランディングにどのような効果をもたらすのかをご紹介します。BIには、「企業全体で共通意識をもつ」、「社員個人が企業活動での判断基準をもつ」、「社員が顧客へのブランディングアンバサダーになる」の3つの効果があります。

企業全体で共通意識をもつ

BIを掲げている企業は、BIをとおして社員全員が自分たちのあるべき姿を認識します。社員全員が同じ方向を向き、BIに見合うビジネスパーソンになるよう意識づけられます。アウトプットの仕方はひとりひとり異なったとしても、企業活動を行うための行動の規範があることによって同じ意識で業務に取り組むことができます。

社員がバラバラの方向に向かっている場合、期待できる成果は限られてしまいます。BIによって社員の意思統一を図ることで、個人レベルから部署レベル、そして企業全体が同じ方向性に進み、MIが示す理念やビジョンの実現を可能とします。

社員個人が企業活動での判断基準をもつ

企業活動では日々多くの決断や選択を行います。それは経営判断など大きなものから、現場レベルでの接客や商談まで、幅広いシーンで決断を積み重ねています。BIは、決断や選択をするときの判断基準になります。また、社員が企業人としての自己の行動に迷いが生じたとき、BIは行動や考えの原点となり、道しるべになります。

また、社員がBIという判断基準をもつことは、社員の主体性を育みます。自分で考えて自分で動く、そのための指標になります。

社員が顧客へのブランディングアンバサダーになる

顧客が企業を認知し、その商品やサービスを経験する過程において、社員との接点は重要なタッチポイントになります。顧客に接する社員は、その顧客の体験をつくるのです。 

企業の理念やビジョンを体現するためのBIを理解している社員は、企業のブランド価値を日々の企業活動をとおして顧客に伝えてくれます。社員がブランディングを行う企業の代表として活躍するブランディングアンバサダーになってくれます。

業界カテゴリーのなかで、特に消費者と直に接するサービス業では、BIが反映された社員の行動が消費者の企業へのイメージを構築する重要な役割を担います。

ブランディングにとりくむとき、顧客とのタッチポイントとして視覚的に訴求するロゴやデザインなどにフォーカスをされることが多いですが、顧客に接する社員のあり方も企業への印象を決める不可欠な要素になります。

CIRCLのBI(ビヘイビアアイデンティティ)の作り方

ここまでBIとは何か、BIが企業にもたらす効果をみてきました。自社にBIが必要と感じたけれど、実際どのようにつくったらよいかわからないという方がさっそく取り組めるよう、BIの作り方を解説します。

ヒアリング&リサーチ

MIを軸として、BI構成要素のポイントを企業にヒアリング

企業とのミーティングで方向性を決定

MIを実現するための具体的・実践的な内容に落とし込み、わかりやすい簡潔な言葉で表現する

BI(ビヘイビアアイデンティティ)の具体例

BIについての理解が深まったところで、実際のBIの具体例をみていきましょう。異なるタイプのBIをもつグローバル企業の事例を3つご紹介します。ユニクロを傘下にもつ日本のファーストリテイリング、アメリカのスポーツメーカーNIKE、同じくアメリカのインターネット企業Googleです。

事例1 アパレル ユニクロ (ファーストリテイリング)

ユニクロを運営しているファーストリテイリングは下記のMIを掲げています。

ステートメント

服を変え、常識を変え、世界を変えていく

ファーストリテイリングのミッション

ファーストリテイリンググループはー
本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します
独自の企業活動を通じて人々の暮らしの充実に貢献し、社会との調和ある発展を目指します

私たちの価値観

  • お客様の立場に立脚
  • 革新と挑戦
  • 個の尊重、社会と個人の成長
  • 正しさへのこだわり

(参考URL:https://www.fastretailing.com/jp/about/frway/

ファーストリテイリングはMIを実現するために、社員がとるべき行動BIを以下のように言語化しています。

私の行動規範-Principle

  • お客様のために、あらゆる活動を行います
  • 卓越性を追求し、最高水準を目指します
  • 多様性を活かし、チームワークによって高い成果を上げます
  • 何事もスピーディに実行します
  • 現場・現物・現実に基づき、リアルなビジネス活動を行います
  • 高い倫理観を持った地球市民として行動します

(参考URL:https://www.fastretailing.com/jp/about/frway/

どの行動規範をとっても、MIで説かれている理念やビジョンを実現するために社員がどのような行動をとればよいかを伝えていることがわかります。

また、ファーストリテイリングのMIには「世界」という言葉が多くあります。世界の一員としての行動をBIでは「高い倫理観を持った地球市民として行動します」と表現しています。

事例2 メーカー NIKE

NIKEでは、BIを「NIKE Code of Conduct」(NIKEの行動規範)としてPDFでHPからダウンロードできるようになっています。

ファーストリテイリングに比べ、NIKEの行動規範はより具体的な内容になっています。NIKEは1990年代頃に東南アジアの工場で労働に関する問題が不買運動に発展した過去があります。そういった経緯もあってか、NIKEは行動規範をとおして企業としてあるべき姿を示しています。

NIKEの行動規範には、“COMMITMENT IS EVERYTHING”(コミットメントがすべてである)と書かれ、ここでのコミットメントは”約束“や”責任“を意味します。NIKEの行動規範にある内容を遵守してほしいという、NIKEの社員への力強いメッセージがこめられています。

(参考URL:https://purpose-cms-production01.s3.amazonaws.com/wp-content/uploads/2018/05/14214943/Nike_Code_of_Conduct_2017_English.pdf

RESPECTED(尊重されるべきこと)

  • VOLUNTARY EMPLOYMENT(自発的な雇用である*強制労働ではない)
  • EMPLOYESS 16 YEARS OR OLDER(従業員は16才以上である)
  • NO DISCRIMINATION(差別はあってはならない)
  • DESPECT FOR FREEDOM OF ASSOCIATION & COLLECTIVE BARGAINING(団結の自由と団体交渉を尊重する)

FAIR(公平)

  • NO HARASSMENT OR ABUSE(ハラスメントや虐待はあってならならい)
  • WORKING HOURS NOT EXCESSIVE(労働時間は超過しない)
  • COMPENSATION & BENEFITS PAID ON TIME(働いた時間に応じた報酬と利益の支払い)
  • REGULAR EMPLOYMENT PROVIDED(正規雇用の提供)

SAFE(安全)

  • SAFE WORKPLACE(安全な労働環境)
  • HEALTHY & SAFE NON-MANUFACTURING FACILITIES(健全で安全な非製造施設)
  • SAFE BUILDINGS & STRUCTURES(安全な建物と構造)
  • FIRE & EMERGENCY ACTION PLANS(火災・緊急時の行動企画)
  • HEALTH & HYGIENE HAZARDS CONTROLLED(健康と衛生管理の徹底)

SUSTAINABLE(サステイナブル)

  • WATER VALUED(水資源を大切にすること)
  • WASTE MINIMIZED & APPROPRIATELY HANDLED(廃棄物を最小限におさえ、適切に処理すること)
  • ENERGY & CARBON MINIMIZED(エネルギーとカーボンを最小限におさえること)
  • AIR EMISSIONS MINIMIZED(エアミッションを最小限におさえること)
  • CHEMICALS PROPERLY MANAGED(化学物質を適切にあつかうこと)

 これらの行動規範について、PDF内ではそれぞれを詳細に説明されています。ご興味あるかたは、こちらをご覧ください。

(参考URL:https://purpose-cms-production01.s3.amazonaws.com/wp-content/uploads/2018/05/14214943/Nike_Code_of_Conduct_2017_English.pdf

事例3 Google

GoogleがHPに掲載しているミッション(MI)は次となります。

「Googleの使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできてつかえるようにすることです。」

(参考URL:https://about.google/intl/ALL_jp/

Googleは「Googleが掲げる10の事実」を示しています。これがGoogleのBIにあたります。この10の事実は随時見直しが行われ、Google社員のガイドになっています。

どのように考えることで、Googleのミッションを実現できるかを社員に説いています。GoogleのBIはより思考法にフォーカスした内容です。

 「Googleが掲げる10の事実」

  • ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。
  • 1つのことをとことん極めてうまくやるのが一番。
  • 遅いより速いほうがいい。
  • ウェブ上の民主主義は機能する。
  • 情報を探したくなるのはパソコンの前にいるときだけではない。
  • 悪事を働かなくてもお金は稼げる。
  • 世の中にはまだまだ情報があふれている。
  • 情報のニーズはすべての国境を越える。
  • スーツがなくても真剣に仕事はできる。
  • 「すばらしい」では足りない。

(参考URL:https://www.google.com/about/philosophy.html?hl=ja)

まとめ

みなさん、BIについての理解を深めていただけたでしょうか。

BIは社員の行動規範を示し、企業が社員に期待することを明確に伝えます。BIは企業に大きく3つの効果をもたらしてくれることをお伝えいたしました。

  • 企業全体で共通意識をもつ
  • 社員個人が企業活動での判断基準をもつ
  • 社員が顧客へのブランディングアンバサダーとなる

ブランディングでの効果はもちろん、魅力あるBIは社員がその企業で働くことに誇りを持ち、モチベーション向上へもつながります。

BIをつくるためには自社のMIを多角度な視点で分析し、企業をブランドとして確立させるため、社員の行動や思想を言語化することが必要です。CIRCLはこれまでブランディングにおいて培ってきた知識と経験によって、包括的なブランディングのなかでのBIをつくるご支援を行っています。揺るがない強固なBIを作りたい方はぜひ一度CIRCLにご相談ください。

参考文献

「デジタル時代の基礎知識 ブランディング 「顧客体験」で差がつく時代の新しいルール」(著:山口 義宏 株式会社翔泳社)

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